
- 暗号資産市場は時価総額3兆ドル近辺で調整局面が続いており、ビットコインは9万5000ドル前後で推移している。アナリストは、今後のブレイクアウトの可能性を指摘している。
- ビットコイン現物ETFは5600万ドルの資金流出を記録し、30億ドルに迫る8日連続の資金流入が終了した。
- アナリストは、長期的な調整局面とマイナスの資金調達率がビットコインの強い上昇トレンドを引き起こす可能性があり、マクロ経済要因も市場心理に影響を与えると指摘している。
暗号資産(仮想通貨)市場は長期的な調整局面が続いており、時価総額が3兆ドル(約435兆円、1ドル=145円換算)に迫る中、アナリストたちはビットコイン(BTC)のブレイクアウトの可能性に注目している。このブレイクアウトは市場をさらに押し上げる可能性がある。
ビットコインは5月1日に9万5000ドル近辺で推移した一方、イーサリアム(ETH)、バイナンスコイン(BNB)、ソラナ(SOL)は横ばいだった。エックス・アール・ピー(XRP)とカルダノ(ADA)は2%下落し、ドージコイン(DOGE)は3%下落した。
ビットコイン現物ETF(上場投資信託)は4月30日に5600万ドル(約81億2000万円)を失い、8日連続で計30億ドル(約4350億円)近くが流入していた流れが断ち切られた。
市場は過去1週間、概ねレンジ内での動きが続いており、一部ではこれが爆発的な上昇の兆候となる可能性があると指摘されている。
「このような長期的な調整は、さらなる動きのための力の蓄積になる傾向がある。次の主要なトリガーは、5月2日の労働市場データになるだろう」と、FxProのチーフ市場アナリストであるアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏はCoinDeskへのメールで述べた。
「過去5日間、市場は非常に狭いレンジ内で変動し、下落幅が浅くなる傾向が見られた。それでも、3兆100億ドル(約436兆4500億円)にある200日移動平均線を突破できていない。世界的なポジティブな要因が必要だが、突破すれば3兆5000億ドル(約507兆5000億円)への道が開けるだろう」とクプツィケビッチ氏は付け加え、アルトコインの強い動きを示唆した。
WOO Xのリサーチ責任者、パット・チャン(Pat Zhang)氏も同様の見解を示した。「BTCは4月25日以来、9万3000ドルから9万5000ドルのレンジで調整を続け、潜在的なブレイクアウトに向けたモメンタムを蓄積している」とチャン氏はテレグラムのメッセージで述べた。
「過去1週間、BTCの平均資金調達率はマイナスが続いており、これは珍しい現象で、取引所内外でのクジラクラスの投資家の活発な動きを示している」とチャン氏は付け加えた。
過去2年間で、ビットコインの先物契約の資金調達率は、2023年9月19日から9月22日、2023年10月20日から10月27日、2024年8月16日から8月24日、および2024年9月10日から9月17日の4回のみ、マイナスを記録している。
「これらのマイナス資金調達率の期間後、BTCは強い上昇トレンドを示しており、クジラ(大口投資家)の蓄積がBTCの潜在的な上昇局面を準備している可能性を示唆している」とチャン氏は指摘した。
マクロ経済のセンチメントは依然として弱含んでおり、世界中のトレーダーはドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が進行中の関税紛争で次に取る措置に注目している。
ブルームバーグによると、トランプ氏は4月30日に、自身の関税政策が「認識上の問題」を抱えており、重大な政治的リスクを伴うと認めつつも、推進を継続する決意を示した。彼は「韓国、インド、日本との潜在的な合意はすでに成立しており、中国との合意も自身の有利な方向で進展している」と述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin Traders Eye Breakout to New Highs as Trump Says Tariff Deals Progressing