コインチェック、メタップスの子会社を買収──NFT取引市場の創設を加速

マネックスグループ傘下で暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するコインチェックが、フィンテック企業のメタップスから子会社のメタップスアルファを買収する。買収戦略を通じて、コインチェックは計画中のNFT取引市場の開発を加速させる。

コインチェックは5日、メタップスアルファの全株式を取得し、子会社化するための契約をメタップスと締結したと発表。実際の株式譲渡は12日を予定しており、取得金額は公表していない。

コインチェックは現在、ブロックチェーンに記録されたデジタルアイテムのNFT(ノンファンジブル・トークン)を取引する市場の開発を進めている。既にオンチェーンのNFTマーケットプレイス「miime」を展開するメタップスアルファを買収することで、NFT事業の開発と拡大を加速させる方針だ。

コインチェックによると、NFTの取引市場を拡大する上で、課題となるのがイーサリアムのブロックチェーン上での取引処理の拡張性(スケーラビリティ)問題だ。より簡単にNFTが取引できるよう、コインチェックでは「ガス代」と呼ばれるネットワーク送金手数料が発生しないオフチェーンのNFTマーケットプレイスの開発を進めてきた。

オンチェーン/オフチェーン:オンチェーンはブロックチェーン上に直接データを記録する取引方法。オフチェーン取引は、ブロックチェーン上に直接記録されない。

コインチェックは、オフチェーンとオンチェーンの両面でNFTマーケットプレイスを展開することで、同事業を早期に開始したい考えだ。

買収後、メタップスアルファの社名は「コインチェックテクノロジーズ(Coincheck Technologies)」に変更される。同社が手がける「miime」の運営は、コインチェックとは別のブランドのサービスとして継続していく。

|文・編集:佐藤茂
|画像:Shutterstock