ビットコインは「安全資産」か──米国債利回りが景気後退の到来示す

暗号資産(仮想通貨)の支持者はビットコイン(BTC)を安全資産、あるいは経済的・政治的混乱や法定通貨の低迷に対するヘッジとして長年歓迎してきた。

米国債市場が「ブル・スティープニング」と呼ばれるプロセスを通じて正常化しつつあることから、そのヘッジ特性がまもなく試される可能性がある。これは歴史的に景気後退(経済生産の低迷が続いて失業が増える期間)に先立って行われてきたものだ。

アメリカ財務省のイールドカーブは、さまざまな期間の国債の利回りをプロットしている。 通常、この曲線は右上がりで、デュレーション(債券投資の回収期間)の長い債券はデュレーションの短い債券よりも高い利回りを提供する。 2022年半ばには曲線が逆転し、2年国債の利回りが10年国債を上回った。 10年国債と2年国債の利回り格差は、しばしば脱反転または正常化と呼ばれる回復が始まる前の2023年7月には-100ベーシスポイント(bp)まで低下した。

1月は正常化のペースが速まり、スプレッドは-38bpから-0.2bpに上昇した。主な原因はブル・スティープニング、つまり2年物国債利回りが10年物よりも低下したことだ。2年物の利回りはアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待により10bp低下し4.14%となったが、10年物の利回りは8bp上昇し3.94%となった。

歴史的に、ブル・スティープニングの後には景気後退が続くと、匿名のオブザーバー「The Spread Thread」は指摘する。投資運用会社ロード・アベット(Lord Abbett)も昨年10月のブログ投稿で同じことを述べている。

つまり、現在進行中のブル・スティープニングは、差し迫った景気後退の兆候なのかもしれない。

不況時に見られる消費者や企業の信頼感の低下は、ビットコインやテクノロジー株のような資産への需要を低下させる可能性があるが、不況に対抗するためのFRBによる潜在的な金融緩和と、その結果としてのドル・インデックス(他の主要通貨に対する米ドルの価値)の下落は、2020年のコロナウイルスによる不況時のように、最終的にビットコインにとって強気となる可能性がある。

投稿のグラフ内のグレーの縦線はアメリカの景気後退を表す。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin’s Safe Haven Appeal Could Be Tested Soon, U.S. Bond Market Suggests