ソラナが東京で開発者イベント――NFT、DeFi、GameFi…広がるエコシステム

イーサリアムの対抗馬として大きな注目を浴びているブロックチェーン「Solana(ソラナ)」の開発者向イベント「Tokyo Hacker House」が都内で5月25日から開催される。主催はソラナ財団(Solana Foundation)、日程は5月29日までの5日間、会場は品川の寺田倉庫G号だ。

時価総額は2兆円を超え、「次世代チェーン」として有望視されるソラナ。しかし、激しい生き残り合戦を勝ち抜けるかどうかは、チェーンが「使われるかどうか」にもかかっている。そのカギを握っているのは、そのチェーン上で動く「dApps(分散型アプリ)」のクオリティや安全性、そして持続可能性だろう。

たとえば、あのMove To Earn(歩いて稼ぐ)NFTゲーム「STEPN」は、ソラナ財団が2021年に開催したハッカソンで賞金を獲得したサービス。ソラナ・ブロックチェーン上に構築され、参加するにはソラナの暗号資産「SOL」が必要だ。

SOLの価値が上がれば、ソラナを支えるバリデーターも増え、ネットワークがさらに安定し、新たなユーザーや開発者を惹きつける。そうして「エコシステム」が成長すればするほど、ソラナの魅力が高まっていく。

逆にdAppsに魅力が失われたり、不安定で信頼できないものばかりだと、いくらチェーンの基本性能が高くても意味がない。ソラナ財団が世界各地でイベントを開き、dApps開発者を支援する背景はこうしたことにあるのだ。

注目されるイーサリアム・キラー

2017年にスタートしたソラナは、時価総額が2兆円を超え、無数にある暗号資産の中で2022年5月21日現在で9位に入っている。

イーサリアム・キラーと呼ばれるのは、イーサリアムのキモである「スマートコントラクト」の機能を搭載しながら、イーサリアムよりも速く、低コストとされているからだ。ソラナ財団によると秒間50000回という取引速度(TPS)が実現可能で、取引あたりのコストも1セント以下とスケール面でイーサリアムを大幅に上回るという。

高速・低コストな合意形成が実現できる背景は、ビットコインやイーサリアムで使われている「Proof of Work」ではなく、独自の「Proof of History」という仕組みを採用しているからだ。

現時点ではイーサリアムの時価総額30兆円には遠く及ばないが、業界からの期待は熱い。JPモルガン・チェースなどの大手金融機関が注目し、バンク・オブ・アメリカは「暗号資産エコシステムのVisaになりうる」と期待している。

続々と登場するdApps

このところ、ソラナ上のアプリケーションが相次いでニュースになっている。STEPNは、今年一番話題になったソラナチェーン上のプロジェクトだろう。昨年末にローンチされると全世界で話題を呼び、5月にはデイリー・アクティブ・ユーザー(DAU)が50万人を突破したと発表された

ソラナ基盤のNFTマーケット「Magic Eden」は1日あたりの取引件数で、最大手NFTマーケット「OpenSea」を上回った。Magic Edenの優位性はその取引手数料だ。OpenSeaでイーサリアムのNFTを購入すると手数料が約7ドルかかる(2022年5月21日時点)が、Magic EdenでソラナのNFTを買ったときの手数料は1セントに満たない。Openseaも4月、ソラナ対応のNFTマーケットをオープンすることになった。

昨年11月には、プライバシー重視で注目される次世代ブラウザ「Brave」への統合も発表された。他にもDEX(分散型取引所)のOrca、音楽ストリーミングサービスのAudiusなど、数々の注目のプロジェクトがソラナ上に存在している。

開発者との交流チャンス

「Tokyo Hacker House」では、Solana Labのコア開発者やパートナーのプレゼンテーションがあり、ソラナでDeFiやNFT関連プログラミングを始めるための最新情報が手に入る。

WiFi、電源、ワークステーションなど、開発に必要な環境が用意されているのはもちろん、食事やラウンジ、限定のナイトイベントも準備されており、他の参加者と交流し、アイデアの議論やパートナー探しも可能だ。最終日には賞品の出るコンペティション(ハッカソン)も開催される。求人情報もあるという。

参加は事前申込が必要で、こちらのサイトで受け付けている。

|テキスト:渡辺一樹
|編集:佐藤茂
|トップ画像:2022年5月にインドで開催されたHacker House Bengaluruの様子(via Twitter @hackerhouses