リブラの「閉じたエコシステム」を懸念、欧州委員会の大物委員

欧州委員会の競争政策担当委員、マルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)氏は、仮想通貨への参入提案に関して、フェイスブック(Facebook)に厳しい質問を投げかけている。

質問は、リブラ(Libra)は商業のためのオープン・プラットフォームになるのか、どのような通貨が受け入れられるのか、リブラを利用する組織や個人は「特別な利益」を受けとるのか、などだ。

これらの質問は、スウェーデンの金融部門の従業員労働組合「Finansforbundet」とのインタビューの中で投げかけられた。ブルームバーグ(Bloomberg)が伝えた。

「まだ存在していないものについて質問するという新しい事態」とベステアー氏は述べた。

不明点が多いにもかかわらず、ベステアー氏はローンチによって起こり得るさまざまな結果に対して、オープンな姿勢を保っている。

「他の経済とは関連しない、完全に閉じたエコシステムになるという問題の可能性もある」とベステアー氏は述べた。

「支払いについては、競争の可能性が開かれた方法で行うことができる」

欧州委員会は8月、リブラ協会(Libra Association)の反競争的行為の可能性について調査を開始した。調査範囲には、ユーザーデータへの影響、フェイスブックが所有するワッツアップ(Whatsapp)やメッセンジャー(Messenger)へのリブラの統合が含まれた。

「問題になるかどうか判断できるレベルまで、先を見越していきたい」とベステアー氏は述べた。彼女は、リブラに疑問を持っているのは欧州委員会だけではないと指摘し、次のように続けた。

「最も関心を持っているのは欧州の中央銀行だろう」

透明性はリブラをめぐる一般の議論において直近の注目点となっている。

2019年10月2日(現地時間)、これまでは態度を表明していなかったリブラ協会のメンバー企業らは、リブラプロジェクトに対する規制当局の厳しい姿勢に不満を表明した。

そしてフェイスブックのアプローチについての同社CEO、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏の考えが非公開の社内会議の記録の流出によって明らかとなった。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:European Commission photo via Shutterstock
原文:European Competition Watchdog Fears Libra’s ‘Closed Economy’