【FX】ドル円は今後どうなるか──7社予想まとめ

FX取引が活況を呈している。たとえば東京金融取引所によると、2020年の「くりっく365」の取引高は前年比22.7%増加し、特にメキシコペソ/円に至っては前年比109.5%で倍増した。

昨年もコロナ禍に並び市場に大きな影響をおよぼした米国の動向に関しては、今年1月20日にバイデン大統領が正式に誕生し、今後の政権運営に注目が集まっている。

以前「2021年FX相場の見通し各社まとめ」( https://www.coindeskjapan.com/93942/ )を紹介したが、このタイミングで改めて、前回と異なる7社の媒体で見られたFX相場の年間見通しについてドル円を中心にまとめる。

なお、予想はあくまで各社とも異なる執筆時点でなされ、また将来に関して何らの約束をするものではないことに留意いただきたい。

岡三オンライン・武部力也氏 ドル円、年末に向け95円を予想

岡三オンライン証券投資情報部長兼シニアストラテジストの武部力也氏は、2021年の米ドル/円のレートを以下のように予想した(公表日:2020年12月29日)。

2021年4月:100円
2021年12月:95円

2021年の米ドル/円レートは、内外の政治日程に動かされる可能性を想定した。

春に向けて、米バイデン新大統領との日米の同調性と先行きが試される展開を予想。東京五輪開催時期では、中国共産党100年関連式典が多数予定され、対中国包囲網との対立、緊張が警戒される展開を予想した。

年間を通じ、日米金融政策の長期化が「ドル売り・円売り」の対峙構造が予想されるも、円高圧力の増幅場面では公的機関投資家を通じた「円投・円売り」の可能性を指摘した。

【米ドル(USD)の解説についてはこちら──主要通貨ペアや値動き要因も】

カブコム証券・山田勉氏 ドル円のレンジを90~110円と予想

auカブコム証券マーケットアナリストの山田勉氏は、2021年の米ドル・円レートのレンジを90~110円と予想した。

円高リスクとして、日米実質金利差のマイナス拡大、経済の低調からくる「デフレ圧力」、また米民主党政権下の円高を指摘した(使用データ:2020年12月18日現在)。

楽天証券・荒地潤氏 ドル円100円割れを予想

楽天証券FXディーリング部の荒地潤氏は、不透明要素が多いとしながらも、米ドル/円レートの100円割れの可能性が高いと予想した。

2021年の米ドル/円レートのレンジは、2020年と同じように概ね10円前後と予想。103円を挟み、98~108円と想定した。ファンダメンタルズ要素を除外した中立の立場からも、100円割れの可能性が高いと予想した(公表日:2021年1月5日)。

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三菱モルガン・植野大作氏 ドル円の底入れを予想

三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏は、しばらくは円高警戒色の強い状況を予想するも、ピリオド(日柄)の面から、円高・ドル安局面に飽和感が出始める可能性を指摘した。

100円割れを試す局面も考えられるが、FRBがマイナス金利を採用しない方針を維持する場合、追加利下げの可能性はほとんどなく、米ドル/円レートの下値余地は100円前後以下のレベルでは広がりにくいと予想。

春を過ぎて北半球の主要国で新型コロナウイルス感染拡大が抑制されれば、米国の早期利上げが意識され、米ドル/円レートが110円を試す可能性もあると指摘した。

米ドル/円レートのレンジは10円前後と予想するも、2018年、2019年に続く3度目の10円未達の可能性も言及した(公表日:2021年1月5日)。

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外為どっとコム 年足で陽線を予想

外為どっとコムは、運営する「マネ育チャンネル」で、2021年の米ドル/円の年足は6年ぶりに陽線となると予想した。

2020年まで、米ドル/円の年足は5年連続陰線になっているが、1973年のプラザ合意以来、6年連続の陰線は一度も記録されていないと指摘。

足元のドル安基調から、年前半に米ドル/円レートの100円割れを想定するも、底入れ感が強まると予想。日米金利差が拡大も縮小もしない公算が大きく、実需フローに大きな偏りがない中で大幅なドル安・円高は進みにくいと指摘した。

ただし、同じ理由から、110円を超える大幅なドル高・円安に振れる可能性は低いとも指摘。年間のレンジは、過去最少となった2019年の8円弱を更新する可能性を予想した(公表日:2020年12月30日)。

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みずほ銀行 米ドルの底入れを予想

みずほ銀行は「中期為替相場見通し」で、2021年の「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」「ユーロ/円」を以下のように予想した。

 2021年
1~3月期末
4~6月期末7~9月期末10~12月期末
米ドル/円101円102円104円106円
ユーロ/米ドル1.21米ドル1.19米ドル1.17米ドル1.14米ドル
ユーロ/円122円121円122円121円

米ドルにおいては、1~3月期においてはドル安が続くと予想するも、ワクチン接種がもたらす経済正常化など、前向きな材料が増えると予想。円高とも円安とも言い難い局面の中、米ドルや米金利の底打ちを確認する可能性を指摘した。

ユーロにおいては、「米ドルの過剰感」や「米金利の低位安定」の大前提が変わらない中、ユーロ圏の「世界最大の経常黒字・貿易黒字」は評価されやすく、ユーロ高になりやすいと指摘。米金利が底打ちするなど、米ドル側で大きな動きがない限り、ユーロ売りには転じにくいと予想した(公表日:2020年12月25日)。

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日本総研 ドル円の横ばいを予想

日本総合研究所は「為替相場展望」で、2021年の「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」「ユーロ/円」を以下のように予想した。

 2021年
1~3月期中
4~6月期中7~9月期中10~12月期中
米ドル/円103円103円104円105円
ユーロ/米ドル1.22米ドル1.23米ドル1.24米ドル1.23米ドル
ユーロ/円126円127円128円128円

米ドルにおいては、ワクチン普及期待などから米景気の減速懸念が後退し、米金利上昇とともに米ドルが底堅さを取り戻す展開を予想。しかし、FRBが強力な金融緩和を継続するため、ドル高・円安の余地は限られ、結果として横ばい圏内の動きを予想した。

ユーロにおいては、EU復興基金やワクチンへの期待感からユーロ高を予想するも、ECBの金融緩和の長期化から、結果としては横ばい圏内の動きになると予想した(使用データ:2021年1月8日9時現在)。

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文・編集:CoinDesk Japan編集部
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